飛べない蝶と空の鯱 2 感想

あらすじ
 風を読むことが苦手で、翼舟の操縦が下手な少年・ウィルと、過去に負った傷から空を飛ぶことが怖くなってしまった少女・ジェシカ。お互いの欠点を補わないと飛べない二人は、未だ誰も見ぬ空の果てを目指すという夢とともに、空飛ぶ郵便屋「蝶と鯱」を経営していた。ある日、謎の男からの依頼で持ち込まれた封書を届けると…誰もいない廃墟に唯一残されたトランクの中には、冷たくなった裸の少女が!二人は世界の創世記の伝承「七つの鍵」の秘密に巻き込まれることに

 1巻から既に圧倒的だった世界観。その場に空を感じさせられる綺麗な文章にイラストレーターさんが作り出す独特な雰囲気も相俟って、読んでいて一気に引きこまれます。
 前巻とおなじく、ウィルとジェシカが大きなうねりに巻き込まれていくお話。<封書>を届けた先でトランクの中にフェイという女の子を見つけたことから物語は始まります。
おおまかなあらすじなどは割愛して、今回特にしびれたのは空におけるフェンリルとの戦闘シーン。この作品の最大の見せ場である空戦ですが、二人の夢と想いを賭けた攻防に心奪われました。作中に登場するケイトという第三者の視点を利用して、読者にも同じ立ち位置へ意識をシフトさせてくれるのも良かったです。まさか操縦者を入れ替えるなんて……。互いに本領発揮しすぎでしょ。一気に引き出しを解き放ちましたね。
 ようやく物語の方向性も少しずつ見えてきたので、今後どのような展開になるか楽しみです。バディはこのままフェイがなるんですかね?そのあたりも気になるところです。