マグダラで眠れ 感想

マグダラで眠れ (電撃文庫)

マグダラで眠れ (電撃文庫)

 <あらすじ>人々が新たなる技術を求め、異教徒の住む地へ領土を広げようとしている時代。錬金術師の青年クースラは、研究の過程で教会に背く行動を取ったとして、昔なじみの錬金術師ウェランドと共に、戦争の前線の町グルベッティの工房に送られることになる。グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。そして辿り着いた工房では、フェネシスと名乗る白い修道女が二人を待ち受けていた。彼女の目的は、クースラたちの“監視”だというが―?眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その「先」の世界を目指すファンタジー、開幕。

 ここまでがあらすじなわけですが、この方のつくり上げる中世ファンタジーな世界観を早々に受け入れられるかがネックになるかと思います。自分は中盤からの主人公の取り巻く環境、行動原理を通じてなんとなくですが頭の中でイメージが湧きました。しかし、個人的な観点からするとこの物語は世界観はおまけであり、尤もキャラクターたちの会話劇の中で生まれるドラマが一番の見所なのではと思いました。会話の中で生まれる錬金術師の宿命、組織の中で動くための処世術など読者に対して納得させるような部分が多く、小さい伏線を一気に広げさせる構成にも期待感と高揚感に心が満たされます。クースラの目指す「マグダラ」とフェネシスの「呪い」。この2つを持ってどのように話を広げていくのかが楽しみです。1巻を通じて未だ錬金術が何たるかということは深くは出て来ませんし、おそらくこの巻で世界観の提示と主要キャラの確立に話を割いていると思うので、それも今後のお話にに期待できそうですね。

 いやね?お腹をすかせたインなんとかさんが、同レーベルなのをいいことに出しゃばってきたとか口が裂けても言えない……。
「とうまーお腹が減ったんだよ?(最近出番が少ない)」